『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』・2017年11月舞台
2017年10〜11月シス・カンパニー公演『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』(世田谷パブリックシアター)を振り返ります。
世田谷パブリックシアターは初めて行った劇場ですが、演劇と舞踊を中心とした舞台芸術のための劇場で、約600席とコンパクトなキャパなので舞台と客席が近く、素敵な劇場です。舞台監督は野村萬斎さん。
今回の舞台は、菅田将暉、生田斗真のダブル主演。それに加えて林遣都と当代人気俳優揃いでチケットを取るのに苦労しましたが、追加席を滑り込みGet。スツールだったのですが、1階にコインロッカー完備だったので、そこに荷物を預けて、快適に鑑賞できました。
『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』とは
『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』は、チェコ生まれの劇作家、トム・ストッパードが1966年に書いた戯曲です。
内容はシェイクスピア悲劇の代表作「ハムレット」のいわゆるスピンオフ。二人はハムレットの友人で、戯曲の中では「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」という一言だけで片付けられてしまう完全な脇役。
その二人を主役に、マシンガンのような会話劇を通して彼らが不条理な死にいたるまでを描かれています。
過去、日本でも1969年(劇団四季)、1985年(矢崎滋、角野卓造)、1994,97,2000年(古田新太、生瀬勝久)、2015年(石橋徹郎、浅野雅弘)と何度か上演されています。個人的には古田生瀬のロズギル、観たかったなあ。
2017年版『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』
2017年版は演出が小川絵梨子さん。本来シニカルでドライな舞台を、ドライになりすぎないで情緒な余韻を持たせる演出を心掛けたとのこと(パンフレットから)。
そのためか、上演中は男子達の美しさにワクワクだったのですが、観たあとで考えさせられるというか、改めてハムレットのストーリーを読み返すような、余韻を感じる舞台でした。
ストーリーは、ハムレットの父であるデンマーク国王クローディアスから呼び出された、生田斗真演じるローゼンクランツ(ロズ)と菅田将暉演じるギルデンスターン(ギル)がコインゲームをしながら旅をしているところから始まります。狂言回しのような旅役者一座と絡んだり。
ロズのボケとギルの突っ込みという二人の掛け合いはまるでコントのようで、客席もクスクス笑いが止まりません。
で、実際にエルノシア城に着いた二人に国王が頼んだのは、学友として、正気を失ったように見えるハムレット(林遣都)の様子を探ること。しかし、やっぱりヘタレな二人はどうしていいかわからず、おろおろしているうちにハムレットにかわされてしまいます。
二人は、最終的に国王からの手紙をイングランド王に届けることになるのですが、彼らが船に乗る直前にハムレットが手紙をすり替え、その内容のため処刑される運命に。
船上でそれに気付いた二人ですが、なすすべもなく死へと向かってゆくのです。
……まあ、でも、なんと言っても一番の感想は、菅田将暉、生田斗真、林遣都の3人が美しかったこと!
昨年来の舞台で、長澤まさみ(キャバレー)、蒼井優(アンチゴーヌ)、石原さとみ(密やかな結晶)と観てきているのですが、全くの主観ですが、美しいという意味では男子の方が勝ってました。ホント、観てるだけで眼福を感じましたから。
でも、後から思い出すと、重いテーマで、【不条理】を強く感じながらも、それに蟻地獄のように落ちてしまう人間の弱さをリアルに感じます。まさに芝居の醍醐味を実感する、余韻の深い舞台でした。