松坂桃李の狂気全開だった『マクガワン・トリロジー』・2018年7月舞台

2018年6/13〜29に、世田谷パグリックシアターで上演された舞台『マクガワン・トリロジー』のレビューです。

『ブラックペアン』の気になる女優さんで紹介した、趣里ちゃんのことを調べていて知ったこの舞台。

主演が松坂桃李君!

演出が以前観た『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』と同じ、今をときめく小川絵梨子さん!

場所も同じ世田パブ!

ってことで、ナマ桃李くん、ナマ趣里ちゃん、と小川演出が目当てでがんばってチケットを取ったものの、行ってみたら予想以上にすごくガチな芝居でした。

舞台は、1980年代のアイルランド。IRA(アイルランド共和軍)という、アイルランド独立闘争を行ってきたアイルランドの武装組織で、殺人マシーンと恐れられたヴィクター・マクガワン(松坂桃李)を巡る3部作です。

1部は「狂気のダンス」バーを舞台に、幼なじみの同志にスパイ容疑がかかり、追い詰めて最終的にヴィクターが……

2部は「濡れた背の高い草」ヴィクターが拉致してきた女性(趣里)。敵であったイギリス兵に水をあげた罪で、ヴィクターによって処刑される彼女とのやりとり。昔憧れてた女性を、無意味に殺すことに、ヴィクターの中にわずかな疑いが生まれます。

3部は「男の子たちが私の前を泳いでいった」認知症で入院している母(高橋惠子)を訪れるヴィクター。やりとりの中で、ヴィクターが認められたかった母と、今の母の姿が浮き彫りになり、やがて……

パンクロックがガンガン鳴るオープニングから始まって、1部は結構過激な芝居が続きます。びっくりしたのは、桃李君がコワイ!喋り続けるし、動き続けるし、まさに狂気。

テレビや映画で観ることが多かった、ほんわりと優しい雰囲気がなくて、身体も相当絞ったのでしょうか、トンガリまくり、エッジききまくり。

松坂桃李の芸達者ぶりを実感しました。今、放映中の「この世界の片隅で」とは対局ですね。

1部も会話が多いのですが、2部、3部はほとんど会話劇。二人の対話から背景が浮かび上がってきます。

でも、観終わってみれば、結局ヴィクター全員殺してるのね。決して楽しいお話ではありません。

相当重いし、背景も難解だし、難しい芝居だったと思います。

稽古前に小川さん(今気がついたけど、舞台って監督じゃないんですね。役者さん達なんて呼ぶのかなと思ったら、普通に絵梨子さんって呼んでるし)の提案で1週間ぐらいアイルランドの状況を知るための勉強会をやったのが良かったと、役者さん達が声を揃えて言ってました。

個人的には、大好きな小説『機龍警察』シリーズを思い出しました。

IRAの後継団体であるIRFにいた設定のキャラがいて、彼女を主人公にした回『機龍警察 自爆条項』を読んでいたので、雰囲気はわかりました。

ただ、それ以上に、一人一人の心理的な葛藤を描いた内容だと感じました。

役者も、演出家をはじめとしたスタッフも、それだけこのストーリーを自分のものにしていたのだと思います。

いやしかし、改めて小川絵梨子さんすごいわ……と思っていたら、なんと、今年9月から、若干(?)39歳にして新国立劇場芸術監督に就任!!

ますます楽しみな演劇界ですな〜

 

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