『万引き家族』に見る刹那の絆・2018年6月映画

是枝裕和監督の『万引き家族』が公開されました。

昨日は、TBS「王様のブランチ」で是枝監督、リリー・フランキーさん、安藤サクラさんが出演され、メイキング映像を紹介しながら、感想や撮影時の話をされていました。

リリー・フランキーさんが、「言葉のない人」と言ってた安藤サクラさん。自分の役について「未だによくわからない人」と本当に言葉を探して必死に話すのですが、その説明がよくわからない。でも、「とにかくやってみます」と演技に入ると完璧なんだそうです。本当に、感性が際立っている人なんですね。

是枝監督が話したカンヌの逸話:パルムドールの審査員長の大女優のケイト・ブランシェットが、受賞パーティーで監督のところに来て、安藤サクラさんの演技を絶賛し、監督の目の前で彼女の泣く演技をものまねした、という話を聞いたサクラさんが、「え〜誰か、動画撮ってなかったの,動画!」と慌てる様子が可愛かったです。

ただ、その番組で観たキャストの感想が、「本当の家族よりも深い絆」のようなことを言っていて、私は違和感を感じました。

若干ネタバレになりますが、あそこに描かれた6人は本当の家族ではない。むしろ、血縁がある人は一人もいない、全員他人なわけです。

だから優しさと言っても、そこにわずかな疚しさがあったり、自己愛があるようにも感じました。いわゆるスネに傷を持つ者が集まって、現実逃避をしている状態。

現実逃避が悪いのではありません、むしろ、だからこその優しさだったり、思いやりもあるとは思います。

でも、それが絆と言えるかというと、少し疑問を感じるのです。

物語は、一番先に現実に気付いた少年の行動と、祖母(役)の急死というアクシデントで急展開し、家族は崩壊。

罪を一人背負って、服役する母(役)、一人暮らし始める父(役)。施設に入った少年は、父とともに母を訪ねて自分の出自の秘密を明かされ、その後父の家に一晩泊まります。

まだどこか現実逃避している父と、現実に歩き出した少年の意識の違いは明らかで、無邪気に笑って一緒に雪だるまを作る二人を見ていても、少年が父に合わせているよう。それが、翌朝のバス停の別れではっきりします。

ラストシーン、虐待されていた親元に戻った少女の遠くを見つめる顔。絆をつなげて行くには、彼女は幼すぎます。

6人が過ごした、きらきらとした刹那の絆は、刹那だったからこその輝きだったのではないかと思ってしまうのです。

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