コクーン歌舞伎『切られの与三』切ない与三郎・2018年5月舞台

渋谷の東急Bunkamura・シアターコクーンで上演中のコクーン歌舞伎『切られの与三』に行ってきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

渋谷・コクーン歌舞伎とは

シアターコクーンは、747席ありながら奥行き24メートルとコンパクトな造りで、舞台がとても近く感じます。舞台劇場ですから、もちろん歌舞伎座などと違って花道などはありません。

ここを舞台に、今回の演出家・串田和美さんと18世中村勘三郎(当時の勘九郎)さんが中心となり、渋谷で若い人が伝統芸能に親しむべく、1994年に始まったのがコクーン歌舞伎。歌舞伎の演目を串田さんが演出し、独特の舞台芸術を作り上げています。

25周年を迎えた今回が16作目となり、新作『切られの与三』を上演しています。

『切られの与三』とは

原題を『与話情浮名横櫛』(よわなさけうきなのよこぐし)という歌舞伎の演目で、九幕十八場という長いお話。実話を元にしていて、それが講談や落語で流行っていたのを歌舞伎にしたと言われていますが、真実は定かではありません。

私ぐらいの年齢だと「いやさ、これお富、ひさしぶりだなあ」とか、「しがねえ恋の情けが仇」なんてセリフを幼い頃にテレビや知り合いのおじさんから聞いた記憶がかすかにあります。

あらすじは、江戸の大店の若旦那だった与三郎がちょっとした事件をきっかけに身を持ち崩し、木更津の親類に預けられます。浜辺で江戸を恋しがる与三郎は、地元の親分源右衛門の妾・お富とすれ違い、お互い恋に落ちてしまいます。

源右衛門が留守中に、お富に会いに行く与三郎ですが、お富に横恋慕する手下の告げ口で源右衛門に見つかり、お富は逃げ出して海に身を投げますが、与三郎は体中に34箇所もの刀傷を受けて、どうにか逃げ延びます。

傷だらけになった与三郎は、どうにか江戸に戻ったものの勘当されて無頼漢「切られの与三」としてキズを売り物に強請りたかりをしながら暮らします。一方、お富は入水した際に助けた多左衛門の妾となっています。

お富は死んだものと思い投げやりに生きていた与三郎ですが、ある日、相棒の蝙蝠安に導かれ、たまたま強請りに入ったのがお富の家。そこで「いやさ……」のセリフとなるわけです。

この後も、二人はついたり離れたり。で、再会する度にお富は誰かの妾で、与三郎は心身ともに傷だらけになっていく…と、実はとても切ない話。

誤って人を殺めてしまい、島流しにあったり、戻ってきたら、実は養子で出自に特別な謂われがあったり、と本当に大変な人です。

コクーン歌舞伎「切られの与三」の面白さ

演出家・串田和美さんは、もともとファンだったので楽しみにしていたのですが、歌舞伎のイメージを払拭するスタイリッシュな舞台でした。歯切れ良い現代語のセリフ、アクションも大きく躍動感があります。それでいて、なんとも味わい深い人間ドラマなのです。

舞台では、移動する白木のフレームを多用する場の展開と、ピアノ、ベース、パーカッションの生演奏によるジャジーな劇伴が特に良かったです。芝居が重くなってくると、音楽が軽やかにすくい取ってくれるような心地よさがありました。

与三郎に中村七之助、お富に中村梅枝。七之助さんは女役が多い中、与三郎をどう演じるのか興味がありましたが、与三がどんなに落ちても、もともとの出自から来る上品さを感じました。与三郎の哀しさ、切なさも伝わってきたな。

梅枝さんは、もちろんキレイでしたよ〜ちょっと姉さん風のお富で、与三郎を翻弄するファムファタールですね。

すごく楽しかったのが、講談師、与三郎のじいや、蝙蝠安など何役も活躍していた笹野高史さん。実は今回最前列だったのですが、笹野さんの太ももの筋肉に目を奪われました。もちろん、芝居もきれっきれ!たくさん笑わしてもらいました。

また、今回の結末は歌舞伎とちょっと違います。それが現代ならではの与三郎を感じました。

『切られの与三』は5月31日が千穐楽。歌舞伎を観たことがない人にも入りやすい舞台です。

ただし、ちょっと長いので、できれば座布団持って行きましょう。(コクーン、良い劇場なんですけど、シートがね。お尻痛くなりやすいので、今回はバックジョイ持参で鑑賞しました(笑)超快適でした)

 

 

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