柴田よしき『聖なる黒夜』暗黒の純愛・小説

昨日のRIKOシリーズに続き、柴田よしきの『聖なる黒夜』(2002年)を紹介します。実は、しばらく柴田先生の小説を読んでいなかったのですが、久々に『聖なる黒夜』を読んでハマリ、時系列的にその後に続くRIKOシリーズを再読した次第。

元はRIKOシリーズのスピンオフとして書かれたそうですが、硬派なミステリながら、上下2巻とのボリュームで重層的に男と男の人間関係が描かれています。

あとから気付いたのですが、今となれば、これってBL小説??(実際、そういうシーンも満載で)と思ってちょっと調べたら、ミステリながらBL小説愛好家の方々にも人気が高いそうです。緻密な構成や大胆な展開で、何よりもキャラクターが魅力的です。

プロローグは読み流しても大丈夫です。(あとからいつのことかわかると泣けるシーンです)本編で最初に登場するのが、主人公の麻生龍太郎警部補。「石橋の龍」(石橋を叩いて渡る)と呼ばれるくらい慎重な捜査をし、確実に逮捕につなげる天才刑事ながら、自分は刑事に向いていないと思っています。部下の宮島静香を自宅まで送り届け、一人で家に帰れば離婚した妻からの手紙を探し、恋人の槇からの留守番電話を聞くという普通のおじさんという描写が淡々と描かれています。

そして、暴力団幹部の韮崎が殺されたことから、ストーリーが動きだします。この韮崎の企業舎弟で、愛人が山内練。天才的な頭脳と白檀の体臭を持つ美青年です。

小説は章ごとに時間を遡り、練がなぜそうなったか、数年前のストーリーが交互に語られていき来ます。

二人に関わる、警察側と暴力団系のさまざまな人たち。麻生と先輩刑事及川との関係、傷害事件で服役していた練と家族の関係、また服役中に連の身に起こった事柄と一緒に服役していた構成員、田村との関係、麻生と静香、槇の関係などなど、とにかくキャラクターが際立っているので複雑な人間関係が破綻せずに成立しているところが凄いです。

登場人物がそれぞれに背負うものがあって、読み進んでいくうちになんともやりきれなくなるのですが、それでも前向きなのが柴田先生の登場人物らしいです。

そして、麻生と練の関わり合い。運命のいたずらとしか言えない事実が、後半これでもかというほど次々に開示され、最後に判明した真犯人は……えええ、そう来たか!と驚きました。

プロローグも泣けますが、上下巻の末尾についてるスピンオフの短編が素晴らしい。

ミステリとしての謎解きの部分も面白いのですが、ついキャラ読みしてしまい、止まらなくてもっと二人に会いたい〜とばかりに、RIKOシリーズに行っちゃった次第。(RIKOでは、麻生さん警察辞めて探偵やってるんですけどね)

読んでると止まらなくなるので、夜とか注意した方がいいかもしれません。映像にしたらいいのに……と思うけど、内容的に厳しいだろうなあ。

今回記事のタイトルに純愛とつけたのは理由があります。麻生と練の関係は一言では語れない、めくるめく愛憎の連鎖なのですが、それでもなぜかピュアさを感じるのです。また、ネタばれになるので具体的には書きませんが、二人以外にいくつもの純愛が描かれています。タイトルの「聖なる黒夜」……って、実はプロローグのことだったんですね。秀逸です。

 

麻生と練の二人が登場する柴田作品は、他に「麻生龍太郎シリーズ」と、山内練が出てくる「花咲慎一郎シリーズ」があります。まだ読んでいないの、ゆっくり楽しみたいと思います。

 

文庫はこちら→『聖なる黒夜 上』 『聖なる黒夜 下』

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追伸:柴田よしき先生のTwitter拝見しました。お元気そうで何よりです。

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