『消滅世界』村田沙耶香著の破壊力

『コンビニ人間』で、先日芥川賞を受賞した、村田沙耶香さんの一つ前の小説です。
破壊力満点!淡々と壊れてゆく世界=消滅世界と感じました。

作家仲間から“クレイジー沙耶香”と呼ばれているそうですが……(^_^;さもありなん。
ただ、本人はまともだと思っているとか。概して、本人はまともと思っているほど、クレイジーだったりするもんです。

ひとつのパラレルワールドとも言えるのでしょうか。
第二次大戦後に男性が少なくなる中で、急速に人工授精が発展した世界。
そこでは、
・出産はすべて人工授精。なので、初潮が来ると避妊具を装着する。
・恋愛対象は基本的に二次元(人間の方が少ない)
・夫婦はあくまでも家族で、それぞれの恋愛は自由。むしろ夫婦間のセックスは近親相姦と忌み嫌われる。
という考えが定着しています。

その中で主人公・雨音(あまね)は、両親のセックスから生まれ、離婚した後も父を愛し続ける母に育てられます。

母は、愛情から生まれることの素晴らしさを説き続け、それが呪いとなって成長する雨音(最後のイブ)が壊れていくお話です。

特に後半、雨音が夫と共に、家族の次に来るシステムとして考えられた、楽園(エデン)システムの実験都市・千葉に移ってから、ますます気持ち悪〜くなっていきます。

そこでは、一人暮らしが基本で、毎年クリスマスになると、選ばれた女性だけでなく、人工子宮を使って男性にも人工授精されます。

生まれた子供は集められ、すべての市民が「おかあさん」すべての子供が「子供ちゃん」として、エリア全体で育てられます。

その様子は、まさに人間養殖場。気持ち悪さに、笑えます。

『コンビニ人間』の恵子に通じますが、雨音もはたから見て、かなり変わってるんだけど、本人はいたってマトモで真面目に社会を見ている感じがして、それが少し共感できたりするのが面白いというか、怖いというか…。

その異常な世界も、まさか、あり得ないし……よね?と、今までの世界の変化を思うと絶対と言い切れないところもあり。

そして、ラストが……私は壊れたと思ったけれど、人によっては違うかも知れない、後味は決して良いとは言えません。

でも、読了ふと現実世界に戻ってきたとき、ああ、この世界で良かったなあとしみじみ思える小説でした。

 

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